本研究は、NPO法人の財政的調査から研究を始める予定であった。しかしながら、本研究の開始が年度途中からの開始であったため、当初の予定を変更せざるを得なかった。そこで本研究においては、文献によるサーベイを最初に行うこととした。NPO法人は、会費、事業収入、補助金等ばかりでなく、労働力、知識等まで幅広い資源提供がなされる組織体である。これらの資源提供者が提供する諸資源を獲得するための基本的視座の分析を、まずサーベイすることとした。それと同時に、全国各地(札幌、東京、大阪、福岡等)のNPOサポートセンターに赴き、ヒアリング調査を行った。NPOサポートセンターにヒアリング調査を行ったのは、全国各地のNPOの立ち上げに協力するNPOサポートセンターで、実際のNPOが資源獲得に関して、どのような問題を感じているのかを調査するためである。また、このヒアリングは、来年度に予定しているアンケート調査の質問項目を構成するための意味合いも含まれている。 会計システムに関するフレームワーク構築に関しても、上記と同様の理由により文献サーベイから開始した。すなわち、情報の目的適合性、信頼性、理解可能性を確保するためには、いかなる特質を備えるべきであるのかが、検討された。上記ヒアリング調査においても、アカウンタビリティに関する自覚の欠如は散見された。来年度において予定しているアンケート調査においては、資源提供者の情報ニーズを可能な限り特定する予定である。NPO法人の社会的使命の遂行状況を説明するためには、資源提供者の情報ニーズが特定されなければならないからである。そして、会計基準設定のためのフレームワーク構築がなされる予定である。
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