本研究の目的は、非営利組織(NPO)の資源獲得と会計システムについて検討することであった。昨年度は、内外の文献研究及び資料収集、各地のNPOへの訪問調査を実施し、研究のフレームワークを作成した。今年度は、これらの成果を踏まえ、茨城県のNPO及び水戸市の任意団体に対するアンケート調査を行った。この2年間の研究から得られた主要な到達点は以下のとおりである。 1.多くの非営利組織は、種々の資源獲得の場面において困難に直面している。その問題を解決するために、情報公開、特に会計情報の公開が必要である。なぜならば、情報公開によって組織の透明性が高まり、その組織がどのような活動を行い、どのように社会に貢献しているのかが明らかとなるからである。また、情報公開によって、市民の監視を受けることともなる。これらのことにより、人々の支援を受けやすくなると考えられる。 2.評価システムに関しては、第三者機関を設置しなければならないと思われる。第三者機関の評価を受けることによって、より組織の信頼性が高まり、人々の支持がより受けやすくなるからである。現時点では存在しない第三者機関による評価システムを早急に導入すべきであると思われる。 3.資源提供者と非営利組織とのミスマッチ問題を解決するために、中間支援組織の拡充を図るべきである。一方に資金、労働力、その他の資源を提供したい人々がいる反面、他方には資金、労働力、その他の資源を必要とする非営利組織が存在する。両者の中間にあって、それぞれが望むことをマッチさせる中間支援組織を今以上に充実すべきであると思われる。 今後上記の事柄について、さらに研究を深めていきたい。
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