本年度(平成15年度)は、NGOネットワークの政策形成過程への関与について、主に環境と貿易問題のクロス・イシューを中心に調査を行った。具体的には、海外調査として計画していた第5回世界貿易機関(WTO)閣僚会議(メキシコ・カンクン、9月4〜13日)に参加し、NGOであるIUCNやICTSD等が主催した平行会議「第18回生物多様性フォーラム」やグローバリゼーション国際フォーラム(IFG)主催のシンポジウム「グローバリゼーションとWTOへのオルタナティブ」において、情報収集やインタビューを行った。同会議参加による研究成果は、国際協力研究会(代表・功刀達朗国際基督教大学教授)のワークショップにおいて「生物多様性フォーラムとWTOカンクン閣僚会議」として報告発表を行った(10月3日)。 また、貿易と環境の法的側面については、国内調査として、香川大学国際環境法遵守調査研究センターが開催した国際シンポジウム「多様化する国際環境紛争への法的対応」(12月12〜14日)に参加し、専門家による議論の中から深い知見を得ることができた。 研究成果の発表としては、10月24〜26目に中国・北京で開催されたInternational Society for Third-Sector Research(ISTR:国際NPO学会)主催の第3回アジア・太平洋州地域会議で、"Institutionalizing NGO Involvement in Global Environmental Governance"をテーマに発表を行った。 この他、日本国内のNGOスタッフ4名から、開発、人権、地雷、情報とNGOなどのクロス・イシューについて聞き取り調査を行った。平成15年度は、これらの研究を「NGO発の平和-環境・経済・社会の融合を求めて」(小柏葉子・松尾雅嗣編『アクター発の平和学-誰が平和をつくるのか?』法律文化社、2004年2月、17-38ページ)としてまとめ、刊行した。
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