研究課題
基盤研究(C)
本研究では、NGOをグローバル・ガバナンスの構築に積極的に関わっていく意図と能力をもつ主体として位置づけ、構成主義の立場から、NGOのトランスナショナル・ネットワークの政策形成過程への関与・影響力を明らかにすることを目的とした。そのために海外調査、専門家からのヒアリング、資料収集、文献調査等を行った。そして、NGOを規範構築者として捉え、安全保障イシューでは対人地雷の全面禁止を求めるネットワークを、貿易イシューでは債務の帳消しを求めるネットワークを、人権イシューではHIV/エイズ治療薬へのアクセスを求めるネットワークを取り上げ、比較検討した。その結果、NGOによる規範構築は、個別のイシューを交錯し、融合したものとなっていることが明らかになった。また、NGOのトランスナショナル・ネットワークについても、イシュー間の融合に伴い、NGOと同じ志をもつ国家や国際機関など、多様な主体との横断的な連携が深化していることが明らかになった。(詳細は、「NGO発の平和-環境・経済・社会の融合を求めて-」小柏葉子他編『アクター発の平和学』法律文化社、を参照)。こうした研究過程の中で、国際レベルの政策提言活動をする国際NGOと国境を越えて活動を展開する社会運動体との相互作用が深まっていることが明らかになり、市民社会がグローバルな公共秩序の構築に取り組むプロセスについても検証した(詳細は、「市民社会によるグローバルな公共秩序の構築」『国際政治』137号、を参照)。2年間の研究総括として、"Constructing Global Order : Civil Society and a New Public Sphere"をまとめ、International Studies Association主催の年次総会において口頭発表を行った。
すべて 2004
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国際政治(日本国際政治学会) 137号
ページ: 138-155
Peace Studies and Actors(Yoko Ogashiwa, Masatsugu Matsuo eds.)(Kyoto : Horitsubunkasha)
ページ: 17-38
International Relations Vol.137