研究課題/領域番号 |
15602002
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
日比野 康英 城西大学, 薬学部, 教授 (10189805)
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研究分担者 |
岡崎 真理 城西大学, 薬学部, 講師 (50272901)
臼井 達洋 城西大学, 薬学部, 助手 (40337481)
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キーワード | 核マトリックス / 核基質 / 転写活性 / matrin3 / クロマチン免疫沈降 |
研究概要 |
平成17年度も、昨年度に引き続いてヒトゲノム配列情報からバイオインフォマティクスの手法に基づいてゲノムDNA内のMAR/SAR領域を同定し、さらに、これと相互作用するタンパク質の機能の推定を以下の方法により実施した。 1.ヒトゲノムDNA配列中のMAR/SAR領域の推定 昨年度実施した遺伝子群とは別に、本年度はさらに、薬物代謝、細胞周期、サイトカインなどに関与する遺伝子を含む100種類の酵素遺伝子群(CYP)のMAR/SAR領域を推定して、分布地図を作成した。この方法は、The Human Genome Database(GDB)(Future et al.2000;http::/gdbwww.gdb.org/)より得たヒトゲノム遺伝情報をもとに、MAR/SAR領域が予測できるMARFinderあるいはSMARTest(Friscm et al.2002;http://www.genomatix.de/cgibin/smartest pd/smartest.pl)のプログラムを用いて配列情報をスクリーニングするものである。その結果、これら遺伝子のMAR/SAR配列はAT-richで、A, T-tractsが頻繁に繰返される領域として認識され、染色体での位置関係およびその配列を特定することができた。同時に、bend構造、kink構造の存在も同じ領域内に推定された。 2.MAR/SAR配列と相互作用する核基質タンパク質(P130/MAT3)との相互作用の解析 上記推定領域が実際にMAR/SARとして機能しているか否かを確認するために、以下に示す免疫沈降法により解析を行った。核基質足場タンパク質P130/MAT3が、MAR/SARと特異的に結合する性質(すでに報告済み)を利用して、抗P130/MAT3抗体によるクロマチン免疫沈降画分に、上記で推定されたMAR/SARが実際に存在するか否かを調査した。その結果、興味深いことに、抗P130/MAT3抗体による沈降画分には、遺伝子に1ヶ所のMAR/SAR領域のみが沈降し、さらにこの画分にはプロモーター領域に局在して遺伝子の発現に関与する転写因子群が含まれていた。また、この逆の順序による免疫沈降によっても同一の結果が得られた。従って、P130/MAT3が転写調節領域のMAR/SARに結合して転写の調節に関与していることが推定された。一方で、P130/MAT3の細胞内での局在性、機能制御を担う複数のリン酸化酵素(キナーゼ)を同定した。今後、これら修飾酵素の機能的役割について解析することが可能となった。
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