研究課題/領域番号 |
15604001
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
國枝 タカ子 茨城大学, 教育学部, 講師 (70007805)
|
研究分担者 |
桐生 敬子 聖徳大学, 人文学部, 教授 (20234403)
|
キーワード | デジタル動作辞書 / ルネッサンス舞踊 / 上方舞 / 身体 / 表象 / アーカイブ / 比較研究 / フィレンツェ(フローレンス) |
研究概要 |
舞踊のデジタル辞書を、二つの世界的に洗練された芸術性高い古典舞踊を対象に作成するため、平成15年度は次のことを達成した。 (1)日本の上方舞(地唄舞)のうち、神崎流の主要作品2つを選び、文献研究と表象の構造分析を行なった。これをもとに主要なモティフを切り出して、基本技能を抽出し、モーション・キャプチャーによる三次元動作解析を行なった。 (2)フィレンツェとウルビーノ市(イタリア)を拠点に、ルネッサンス宮廷舞踊の再構築を進めた。1475年以降のベネチアのおけるダンス文献(絵画を含む)、メディチ家で活躍したダンス・マエストロの著作、ウルビーノを中心に踊られた舞踊譜と楽譜の写本を現地で検討。されを主要動作毎に分析した。さらにモーション・キャプチャーによるデータ入力を行なった。ルネッサンス舞踊のマエストロ(プロのダンス教師)のうち、ドメニコ・ダ・フェラーラ、ドメニコ・ダ・ピアチェンザ、グリエルモ・エブレオ、ジョバンニ・アンブロージオ、アントニア・コルナザノの詳しい研究を進め、主として古文書にあたり、その構成と曲目、ステップの吟味と比較舞踊譜ほかを調査した。 (3)イタリアにおける研究グループと合同して、日本の上方舞の分析結果を共有し、フィレンツェ大学での特別講演とプロジェクト会議を開催して討論した。またイタリア側のルネッサンス宮廷舞踊の実践家と研究者から、イタリアで再構成されている技能の提供を受け、(2)の古文書の記述との差異を比較検討した。さて、日本の京都・大阪を中心とする上方舞の動作は、その中核を「らせん動作」(國枝の命名)によって占められている。このらせん動作により、身体各部の目に見える所作は、切れ目の見つからない、動きの少ない印象を受ける。しかし、このらせん動作こそが、舞踊の表現的意味を、オーケストラの楽譜のように重層的に多重に組み立てているものなのであり、日本の舞踊の高度な技能を示すものなのである。
|