研究概要 |
本年度では,以下の2つの課題を中心に研究を遂行した. インタラクティブなデジタル絵画鑑賞のプラットフォーム制作 画像処理による位置検出技術を用いた新たな画像提示の環境,"ViewFrame"システムを開発し,研究発表,および展示発表を行った.本システムは,ディスプレイ上にユーザの頭部移動に伴い変化するデジタルコンテンツをシミュレーションして提示するものである.すなわち,本システムは,マウスやキーボードなどの入力デバイスを介さない,観測者の身体運動に直結した3次元コンテンツのブラウザである.本システムではリアルタイム性が強く求められるために,グラフィックボードのピクセルシェーダ機能を用いたハードウェアによる画像処理の高速処理を行った.今後は,このプラットフォームを用いて視線に依存した光のシミュレーションを行い,現実の絵画鑑賞に近い鑑賞環境を提供する予定である. デジタル絵画の混色解析 デジタル絵画の画像属性情報をモデル化する第一段階として,絵の具の混色モデルを解明しようと試みている.これにあたり,2色の水彩絵の具の混色前後の反射スペクトルを,分光測定器を用いて測定する.その結果を用いて,絵の具の混色モデルを構築し,無段階の混色シミュレーションの手法を提案した.この手法により,実物に近い混色シミュレーションが可能となり,透明水彩絵の具に対する感覚的な混合比率と実際の混合比率との対応も可能とした.本手法の結果を用いることで,インタラクティブなペイントシステムへの汎用的な混色法としての適用が期待でき,今後進めるデジタル絵の具のBRDF関数化への研究の足がかりになるものと考えている.
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