| 研究概要 |
本年度では,前年度に引き続き以下の2つの研究実績を上げることができた.
(1)インタラクティブなデジタル絵画の鑑賞および編集のプラットフォーム制作
ディスプレイの前に位置するユーザの頭部移動をリアルタイムで計測し,その移動量に伴い変化するデジタルコンテンツを提示するシステムを完成させた.このシステムを用いて,デジタル絵画の「見え」をシミュレーションし鑑賞する環境の試作を行った.これと並行し,光源の位置と光量をコントロールすることで,デジタルイメージの編集をインタラクティブに行える実世界指向のインターフェイスを構築した(特許出願済み).このインターフェイスでは,アナログな入力を用いているため,デジタル絵画への自然なインタラクションが可能になる.
(2)デジタル絵画の実時間混色シミュレーション
前年度に開発したデジタル絵の具モデルを応用することで,透明水彩絵の具に対する感覚的な実時間での混色シミュレーションが可能となった.この結果を用いて,筆圧が検知できるタブレット上でインタラクティブなペイントシステムでの汎用的な混色のインタラクション法を構築し,実世界に近い絵の具の感覚的な混合を実現できた.本手法と(1)の手法を組み合わせ発展させることで,デジタル絵画の鑑賞ばかりでなく,インタラクティブな制作環境をも構築できると考える.
本研究の成果を通じて,石川県の地元産業や工業試験場,およびいくつかのIT関連企業と連携し,漆器や陶器などの伝統産業の活性化を促すための質感表現システムの研究へと発展している.
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