研究概要 |
1)資料収集:主としてユマニ社による復刻版「日本映画」(1936年4月〜1945年3月)の全七十巻の購入。「日本映画」は、官民組織・日本映画協会の機関紙で、国策色の最も強い映画雑誌であった。その中には、映画統制にたずさわる主要な「統制官僚」の記事や、これらの官僚たちが映画界の中心人物たちと映画制作について語り合う座談会が数多く掲載されている。この全集は、現行の研究プロジェクトの中心的資料であるばかりでなく、将来的にも、名古屋大学研究者および大学院生にとって、長重なリソースとなることは確かである。その他にも、戦前戦中の映画評論家の代表作の復刻版も多数購入された。 2)「キネマロク」#2と#3の出版:この機関紙の主要目的は大正時代に出版された映画に関する新聞記事(主に「新愛知新聞」より)を探し出して載せることである。「キネマロク」は以下の機能を果たす:A)全文を現代筆記法で打ち直し、全文を載せること。B)それらの記事を歴史的コンテクストに収めること。次年度、#4の出版予定である。 3)牧野守講演会:日本の最大の戦前戦中の映画文献の収集者兼研究家である牧野守(2003年6月)名古屋大学に招いて、1930年代に盛んに出版された小型同人映画雑誌(特に名古屋において)を中心とする講演。 4)P.B.ハーイの研究および出版活動:ハーイは、菊池寛のおこなった戦前戦中の映画に関する活動(記事、座談会、講演会etc)の記録を収集した。「キネマロク」#3において、菊池寛の短編「若杉裁判長」の英訳とその分析を発表。その他、戦中の国策映画脚本家・沢村勉の作品分析を、沢村の「映画と表現」の復刻版の解説として出版(ユマニ社、'03、6)。現在、映画評論家・津村秀夫に関する論文を執筆中。 5)藤木秀明の研究および出版活動:A)英文の論文:"Onoe Matsunosuke As Early Japanese Cinema Star" (Iconics、Vol.7,2004年2月2日)B)Society for Cinema and Media Studies,(Atlanta, Georgia)において、"American Cinema Stars Reshaping Japanese Culture"について発表の予定(3月6日2004年)
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