研究課題
基盤研究(C)
ハーイは、論文(1)において、1910年代に起こったジゴマ事件の報道を菊池寛が自分の小説にどのように取り入れたかを明らかにした。また、論文(3)では、戦中において菊池が映画産業と文学界を媒介する役割を果たしながら、大衆の組織化を促したことを示した。こうした論考に関連して、映画の初期時代の研究を充実させるため、『キネマロク』を3巻発行し、映画史資料の発掘と分析を行なった。さらに、すでに日本語で出版していた著書『帝国の銀幕』に修正を加えて、英語版を出版した(著書(1))。藤木は、論文(4)において、1910年代の日本にドサ廻りの低級歌舞伎役者であった尾上松之助がどのように社会的に卓越したのかという問題を、パフォーマンスの特徴、歴史的文化的状況、および産業制度との関係から論じた。論文(5)では、1920年代後半に大量に輸入されたアメリカのスター、クララ・ボーのイメージが知識人の間で教育、道徳、美学に関する論争を巻き起こした点に注目し、それが近代日本の価値規範の形成に関わっていた状況を論証している。論文(6)では、1910年代末から1920年代初めにかけての女形から女優への転換が、映画媒体の特質の本質化、イメージにおけるセックスの反映、西洋中心の植民地主義的思考という、三種のイデオロギーを基礎に促されたことを論じた。これらの論考を含めた著書では、1910年代から1920年代にかけての映画スターの形成に関して広範な調査と分析を行い、初期の国産映画スターの出現(1910年代初め〜1920年代半ば)から、アメリカ映画スターの興隆(1910年代半ば〜1920年代以降)を経て、新しいタイプの国産映画スターの成長(1920年代初め以降)に至る変遷と、個々のスターがさまざまに近代の天皇制下の社会における文化的意味、価値、感覚、政治にかかわった状況を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (12件) 図書 (2件)
キネマ・ロク 4
ページ: 37-55
戦争と表象・III (予定)
Journal of the School of Letters 1
ページ: 1-18
Remapping World Cinema : Identity, Culture and Politics in Film (予定)
Kinema-roku no.4
Senso to hyosho no.3
Journal of the School of Letters no.1
キネマ・ロク 3
ページ: 21-33
ICONICS 7
ページ: 157-180
Kinema-roku no.3
ICONICS no.7(forthcoming)
Remapping World Cinema : Identity, Culture and Politics in Film(London : Wallflower Press) (forthcoming)