音楽作品としてのメディアアートの研究のために、当初計画に基づいて、今年度は次のような研究活動を行なった。(1)DVDやCD-ROMなどによるメディアアート作品の分析研究、(2)メディアアート関連イベント参加や施設訪問による調査研究、(3)メディアアートの映像や音響の構成原理と技術的構造についての考察、(4)研究成果の具現化としての作品制作及びそのための直接的な調査研究。 (1)については100タイトル以上のDVDビデオ・VHSビデオ、CD-ROMを分析研究し、そのうち約20タイトルについてはホームページ上(http://www.kyushu-id.ac.jp/~sn/hyoron/dvdcd.html)、及び学内の報告書にその結果を公開した(A4用紙12ページ)。現時点では今後の詳細な分析のための予備的分析が中心である。メディアアートとしての映像作品については意外なほどに紹介されておらず、この分析研究の重要性を自覚した。 (2)についてはICMC2003(国際コンピュータ音楽会議)、ZKM(芸術とメディア工学のセンター)、イリノイ大学実験音楽スタジオ及び音楽図書館、メディアアートフェスティバル(静岡)、デジタル音楽フェスティバル(神戸)などに参加・訪問し、調査研究した。なお、参加したイベントにおいては作品発表も併せて行なった。 (3)については映像や音響の構成原理に関する考察をまとめて、音響学会音楽音響研究会、日本映像学会西部支部例会、アジアデジタルアートデザイン学会、情報処理学会音楽情報科学研究会などの学会で口頭発表し、また予稿集や学会誌に論文等を執筆した。現時点ではこれまでの蓄積をもとに考察している部分が多く、今年度の調査研究を踏まえた本格的な考察は次年度になる。 (4)については作品テーマとなる東南アジアの民俗芸能(特に影絵劇)の研究調査を行い、その成果を生かしたメディアアート作品を制作した。この作品発表と同時に研究発表も行なう予定である(2004年3月4日・5日)。
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