研究課題/領域番号 |
15604016
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
増淵 宗一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70060663)
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研究分担者 |
坂井 妙子 日本女子大学, 人間社会学部, 助教授 (90307984)
佐々井 啓 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60017241)
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キーワード | 人形 / ノベルティ / オスカー・ワイルド / 舞台衣裳 / ケイト・グリーナウェイ / 子供服 / 19世紀の服飾文化 / 20世紀の人形文化 |
研究概要 |
「演劇」と「絵本」と「人形」の三種類の表象メディアは、衣裳や風俗流行とモードの相関性に関して極めて密接な三角関係にあり、平成15年度では、各自が分担テーマに従いそれぞれ調査研究を行い、同時に19世紀後半から20世紀までの西洋、米国、日本における表象メディアとモードの相関性についての芸術社会学的な全体像を把握することに努めた。佐々井は、19世紀後半のイギリス演劇の舞台衣裳、とくにオスカー・ワイルドの喜劇のストーリーと衣裳との関係性について考察し、当時の婦人雑誌に紹介された当該衣裳の記事を集め、その評価について調べた。その結果、喜劇の表現性は舞台衣裳により大きく左右され、しかもそれらの衣裳が当時流行の先端をいくドレス・メーカーによって制作され、かつ観客の批評の対象となっていたことを明らかにした。坂井は、19世紀後半のイギリスの絵本と子供服の関係性、とくにケイト・グリーナウェイの作品とそれに影響を受けた子供服、ケイト・グリーナウェイ・ファッションの関係について考察した。彼女によって描かれたファッションは、当時の主流の子供服とはスタイル、使用生地、装飾など多くの面で異なるにもかかわらず、「グリーナウェイ・ファッション」が子供服の選択肢の一つとして受容された理由として、作品の絶大な人気、シンプルで作りやすい、古風な趣がある、当時理想と考えられていた「無垢で幸せそうな子供」を演出しうるなどについて明らかにした。増淵は、19世紀後半から20世紀までの人形とモード、価値の関係性について考察し、分業による多量生産システムで作られる人形・フィギュア(セト・ノベルティ、ソフトビニール製人形)と作家が一人で作品を制作する「自彫、自描、自装」の創作人形・フィギュアの問題点について調査研究を行い、表象芸術メデイアと時代、社会、国民性の関係性について考察した。
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