本研究(基盤整備)は、時代的には19世紀末から現在、地域的には日本およびアジア(とくに東アジア、東南アジア)を対象とするものです。この分野の研究はこれまでもっぱら個人(大学外の研究者)によって趣味的になされてきたため、ほとんど蓄積がないので、本研究は、基盤整備ということを踏まえ、特定の対象のみを集中的に掘り下げるのではなく、今後の研究の展開のために、まさしく基盤を整備することをめざしています。 研究対象は、時代的には大きく戦前、戦後、現在と区分されますが、本年度はまず現状の調査の一環として札幌のYOSAKOIソーラン祭りと高知のよさこい祭りを調査し、これら「よさこい型祭り」は盆踊りの延長であると同時に、ダンスの様式としてはいわゆる洋舞、とくにジャズダンスが中心であることを確かめることができました。YOSAKOIソーラン祭りがどうして短期間に飛躍的に成長したのかという問題については、10月にポルトガルで開かれた国際学会Pulses and Impulses : Dance and the Communityにて研究発表をおこないました。また、12月におこなわれた舞踊学会年次大会において、よさこい型祭りがシンポジウムのテーマとして取り上げられ、私は司会者として、内田忠賢お茶の水女子大学助教授(社会学)、吉川周平・京都市立芸術大学教授(民俗舞踊)と討論することができました。これについては来年度に発行される「舞踊学」誌上において報告することになります。 アジアにおける洋舞の歴史については、まず7月に韓国へ調査に出かけ、韓国芸術総合学校において、舞踊学科のキム・ヘーシク主任教授にインタビューすることができました。韓国のバレエの歴史は日本と密接な関わりがあるので、来年度は国内でインタビューをおこない、日本のバレエがいかにして韓国に委嘱されたかを跡づける予定です。 また、タイに調査に出かけ、バンコクにおけるバレエ教育の現状を垣間見ることができましたが、歴史的調査に関しては来年度の課題となります。
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