1 『ハワード・キャッツ』の翻訳・出版・上演および授業への導入 研究計画調書に記したごとく、岩井・上田はすでに平成14年度、パトリック・マーバー作の戯曲『クローサー』を翻訳・出版し、福岡における上演を行った。上演には福岡女学院大学の学生が関わり、さらに岩井担当の授業「パフォーマンス研究B」ではこれをテキストとして使用している。 平成15年度はそのノウハウを生かし、同じくパトリック・マーバー作『ハワード・キャッツ』の翻訳・出版・上演と授業への導入を行った。本作の翻訳と上演は本邦初である。 (1)翻訳・出版:岩井・上田に加え、研究分担者である道行千枝と、ネイティヴスピーカーのEvan Kirbyを迎え、平成15年6月海鳥社より翻訳を出版した。翻訳は上演を前提とし、稽古と同時進行で本文に修正を加えて成ったものである。 (2)上演:平成15年6月20日〜22日、福岡ぽんプラザホールにて公演を実施した。公演の母体は民間の制作集団「アントンクルー」であるが、岩井・上田・道行は監修者として加わっている。 (3)授業外の導入:上記上演活動は福岡女学院大学の授業「ワークショップ」(平成15年前期)の課外授業として行われ、さらにこれをテキストとして「パフォーマンス研究B」(平成15年後期)を行った。特に「パフォーマンス研究B」では、原文と翻訳を対照しながら翻訳作業の過程を学生に追体験させ、上演のビデオテープを見せて演技・演出法を学ばせ、さらには翻訳権・上演権取得のための書類作成の方法についても教授した。 2 『ART』の翻訳・上演 『ハワード・キャッツ』に続き、ヤスミナ・レザ作の戯曲『ART』を道行が翻訳し、これを上演台本として平成16年3月27日〜28日、福岡あじびホールにて公演を行った。一連の活動には学生10数名がスタッフとして参加した。 なお上田担当の授業「英語表現研究B(戯曲・詩歌)」(平成16年後期)はこの上演台本をテキストとして行う。 3 『ディーラーズ・チョイス』の翻訳・出版への準備 平成16年度はパトリック・マーバー作『ディーラーズ・チョイス』を材料として扱う予定である。その準備段階として、『福岡女学院大学教育フォーラム』にその注釈のみを抜粋して掲載した。 4 演劇教育科研費コロキウムへの参加:岩井・道行は平成16年2月に行われた日本演劇学会・演劇教育科研費コロキウム(近畿大学)に参加し、演劇教育に関する諸問題について専門家と情報交換を行った。
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