研究概要 |
1 英国現代演劇の授業への導入 (1)ヤスミナ・レザ作「ART」(表現基礎演習 岩井担当):戯曲の構成・対話の意味を学習すること中心に、翻訳の実習を交えながら演習形式で行なった。またサブテキストの分析にも重点をおいた。 (2)パトリック・マーバー作「ハワード・キャッツ」(英語翻訳研究 上田担当):文学作品の翻訳から出版までの過程で知っておくべき、文化的な背景、翻訳の技術、出版に関する知識について、翻訳の実習を交えながら講義形式で行った。 (3)マリー・ジョーンズ作「ストーンズ・イン・ヒズ・ポケッツ」(パフォーマンス研究B 道行担当):戯曲の構成、演技・演出の可能性について考察した。舞台のセット、衣装、小道具などを実際に考案させるなど、学生のアイデアを引き出すことにつとめた。 上記3作品は、いずれも申請者が翻訳作業をほぼ完了したもので、その作業を学生に追体験させるとともに、学生から出る様々なアイデアを今後の研究にフィードバックさせようと目論むものである。学生は豊かなアイデアを有しているが、語学力不足が戯曲の理解にとって大きな障害となっていることは否定できない。 2 イギリス演劇の視察 申請者3名は、平成16年8月29日〜9月8日渡英。現地にて次回作発掘のため延べ20作品を観劇。マイケル・フレイン作「デモクラシー」が候補として有力であったが、すでに本邦公演が確定し、翻訳も出版された。 また「クローサー」の舞台となったBlackfriars Bridge, Postmans Park, St.Bartholomew's Hospital, Smithfield等を実地踏査した。この知見をもとに、次年度は再度これを教材に使用する予定である。 3 パトリック・マーバー作「ディーラーズ・チョイス」について-翻訳・出版・上演準備状況- 申請者はすでに同じ作者の「クローサー」「ハワード・キャッツ」の翻訳・出版・上演を行なっているが、本作はこの2作とともに3部作をなす品である。本作の翻訳作業はほぼ終了し、平成17年度内に海鳥社より出版が決定している。また、同時に福岡において上演予定である。 4 演劇教育コロキウムへの参加 岩井は平成17年3月に行なわれた日本演劇学会・演劇教育コロキウム(千葉商科大学)に参加し、演劇を教育に導入する際の諸問題について専門家と意見交換を行なった。
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