多くの企業で銀行との間の株式持合関係の解消が注目されるようになっているが、このような変化が、日本企業のコーポレート・ガバナンスの将来に関してどのような影響を与えるのかということを考察することが本研究の目的である。より明示的にいえば、銀行・企業間の株式持合関係がどのような要因によって決定されるのかを議論した上で、それらの関係が今後どのように変化していくかということを展望することが本研究の研究課題となる。そのため、本年度の予定としては、まず、株式持合に関する理論研究を概観するし、さらに、それらの先行研究を踏まえた上で、株式持合を決定する経済変数を考察するためのモデルを理論化することに主眼があった。そこで、研究代表者が、契約理論やマイクロ・ストラクチャーのモデルなどを使って、理論モデルを定式化した。さらに、その理論モデルを使って比較静学分析を行い、株式持合変数に対する各パラメーターの効果を理論的に導出した。さらに、そのような理論的結果を定性的にきれいな形で得ることができない場合には、シミュレーションを行って、数値的な形で結果を導出する事に努めた。他方、研究分担者は、推定に必要であると予想されるデータの収集にあたった。そのため、どのようなデータベースを使えば良いのかを検討し、適当なデータベースを購入するかどうかを決定した。また、データベース上に都合の良いデータがなければ、他の形で入手できるように努めた。さらに、モデルが確定していくにつれて、順次、妥当するデータを入力していった。また、データベースのデータを使いこなすために、プログラムの改良も行なった。
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