研究課題/領域番号 |
15605004
|
研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
毛利 勝彦 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (00247420)
|
研究分担者 |
大矢根 聡 同志社大学, 法学部, 教授 (40213889)
山田 敦 一橋大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40293146)
|
キーワード | 世界貿易機関 / グローバル・ガバナンス / コンストラクティヴィズム |
研究概要 |
世界貿易機関(WTO)新ラウンド交渉について、とりわけ2003年9月にメキシコ・カンクンにおいて開催された第5回閣僚会議における合意不成立以降から2004年7〜8月における一般理事会中間合意にいたるまでの交渉プロセスについて継続的な追跡調査を行うとともに、規範や価値の衝突と調整がどのように試みられているかについて理論的検討を行った。貿易問題について国家主体が多角的交渉をすすめてきた従来のガット・レジームと比較すると、プロセス面において貿易問題を多国籍企業や市民社会主体を巻き込んだマルチステークホルダー・プロセスを想定した「貿易ガバナンス」は多国間レジームとしてのWTO交渉においては十分に認められないが、内容面における「非貿易的関心事項」としての環境問題や公衆衛生問題などをめぐる交渉分野において従来のガット・レジームとは次元の違う規範対立と調整をめぐる交渉展開が顕著に見られる。しかしながら、グローバル市民社会における反WTO運動を含むグローバル・ガバナンスの動態が交渉プロセスに直接的な影響を与えているとは考えにくく、その意味で代替的な規範が貿易大国のパワーや利害対立よりも交渉結果を説明する要因としてより重要であると結論することは難しい。むしろ、国際レベルにおける規範対立・調整だけではなく、国際レベルと国内レベルにおける対立・調整や国内レベルにおける対立・調整をも射程に入れた分析枠組みが構築されるべきであろう。
|