研究課題
基盤研究(C)
従来の国際関係学理論では説明しがたい国際政治経済構造の変化を説明する認識論・存在論として注目されているコンストラクティヴィズムを批判的に検討したうえで、世界貿易機関(WTO)新ラウンド交渉をケースとして適用し、その有用性と限界を明らかにすることを目的とした。貿易交渉を国家主体による貿易交渉(GATTレジーム)、国家体だけでなく非国家主体をより積極的に巻き込んだ交渉(貿易ガバナンス)、貿易だけでなく非貿易的関心事項をめぐる国家主体による交渉(WTOレジーム)、貿易だけではく非貿易的関心事項をめぐる国家主体や非国家主体が参画する交渉(グローバル・ガバナンス)に類型化したうえで、WTO新ラウンド交渉は第3の類型として特徴づけられる。そうした特徴を持つ新ラウンド交渉においては、例えば自由貿易と環境保全といったように、異なる規範間の緊張対立が見られる。第一の類型と比較すると、WTOはそれが扱う課題が広範囲となっているが、第四の類型と比較すると新たな規範を主張する非国家組織(NGO)や他の市民社会組織がフォーマルなWTO過程に参画する程度はきわめて限定的である。2003年9月のWTOカンクン閣僚会議における合意形成の失敗や2004年8月のWTO一般理事会にける中間合意の形成は、こうした規範対立とともに、主要貿易国や新興途上国の権力関係や利害関係の変化を考慮にれることによって説明できる。また、国際レベルにおける規範対立だけでなく、国内レベルや、国際レベルと国内レベル間における対立や協調を射程に入れることも重要である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (10件)
EUの政策統合-ガバナンスの新たな視点(香川敏幸編)(慶應義塾大学出版会)
ページ: 1-27
WTO紛争解決の履行制度(川瀬剛志, 荒木一郎編)(三省堂) (印刷中)
Policy Integration of the EU (Kagawa ed.) (Keio University Press)
WTO's Dispute Settlement and Compliance Mechanism (Kawase & Araki eds.) (Sanseido)
International Politics 41
ページ: 394-414
政策空間 13
ページ: 14-15
International Relations of the Asia-Pacific 4 : 1
ページ: 200-202
Policy Space 13
International Relations of the Asia-Pacific 4:1