研究概要 |
現実のポリマーを意識しながら、A型(主鎖中のそれと平行な双極子モーメントをもつ)、B型(主鎖中にそれと垂直な双極子モーメントをもつ)、C型(柔軟な側鎖に双極子モーメントをもつ)モデルポリマーで、多様な形態を想定して、誘電特性への化学構造の影響の仕方を系統的に調べる。バルクでの誘電特性(特に誘電損失)をシミュレートし、その支配因子や発現機構を解明する。本年度はこれまでの準備研究の成果を踏まえ、以下の研究を進めた。 (1)PPO[Poly(2,6-dimethyl-1,4-phenylene oxide)]の粗視化モデルを考察し、分子動力学シミュレーションによる考察を行った。今年度はシミュレーションプログラムの作成に多くの時間を必要としたため、具体的な計算結果を得る段階には未だ至っていない。計算プログラムのデバック及びパラメータチューニングを主として行い、テスト計算と一部の結果が得られる迄に至った。 (2)ポリマーの基本的な性質(ガラス転移温度、熱膨張係数、比熱など・・・)の支配要因(ミクロパラメーター)を考察し、これらの基本熱力学的属性を自由に制御する支配要因を探すことを目的として、ナノコンポジット系の分子動力学シミュレーションを合わせて行った。ポリマー(ここではPE)にナノサイズの粒子を加えることによる物性(特にガラス転移温度)の変化を考察した。
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