研究概要 |
研究者がナポリ大学のMarrucci教授等と共同で開発している,からみあった高分子系の分子モデルであるプリミティブ・チェーン・ネットワークモデルを,高分子のブレンド系へと拡張することが本研究の目的である.今年度は,ブレンド系への拡張にともなう支配方程式の変更を検討するとともに,ブレンドでない均一系について,モデルパラメーターの検討を行った. 支配方程式については,ブレンド系の自由エネルギーから導出される化学ポテンシャル場を考慮した拡張を行った.その結果定性的には実験を再現する結果を得ることができることを確認した.結果は日本レオロジー学会討論会,高分子討論会等で発表し,国際誌へ論文を投稿中である. モデルパラメーターについては,からみあい点間分子量が,広く用いられているFloryの表式にたいして,1/2の係数をかけたものになっていることがわかった.これはGothらの,結合点にゆらぎがあるゴムに対する理論と同じ結果になっているが,本研究で対象としている,ゆらぎがあるからみあい点に対する値はこれまでわかっておらず,重要な発見といえる.理論的に得られたからみあい点間分子量を用いてモデル計算を行い,実験結果の再現を試みたところ定量的に良好な一致を得た.結果はJCP誌に掲載された.
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