研究概要 |
我々のグループは従来の非圧縮一様等方性乱流直接数値計算(DNS)とはけた違いに大規模なDNS(N^3=2048^3,Rλ〜730、及びN^3=4096^3,Rλ,〜1200)「ウルトラ・シミュレーション」を世界最速クラスのスーパーコンピュータである地球シミュレータ(ES)上で実現した.得られたウルトラ・シミュレーション結果は乱流を解明するために非常に貴重なデータであり、最終的には世界中の乱流研究者が様々な視点から解析出来ることが望ましい.そこで,本研究では,乱流ウルトラDNS結果の公開プラットホームの構築を目指し以下の研究を行った. 1.乱流のウルトラ・シミュレーションで得られた基本的な乱流統計データの発表(乱流場を特徴つける統計量:縦速度微分のPDFや高次モーメント、エネルギースペクトル、圧力のスペクトル、速度構造関数等を過去及び最新の乱流実験データと比較し、結果を公開した.) 2.並列化手法をFortranやMPI等の使用による解析プログラムの汎用化(DNSデータを地球シミュレータ以外にも名古屋大学情報連携基盤センター(ITC)でも解析可能にした.) 3.上記DNSデータ(まずはN^3=2048^3)を各研究者が有効に利用できる形態の確立(N^3=1024^3までのデータをwebで公開した.ユーザーは乱流データを(http://www.fluid.cse.nagoya-u.ac.jp/〜dns/pub/dnsdata/dns.html)からダウンロード可能である.また,N^3=2048^3のデータは情報連携基盤センターにアカウントがあれば解析可能である.現在、ウェーブレット解析など国外の研究者によるデータ解析も行われつつある.) 4.上記大規模データの有効な可視化手法の開発(ES宇野氏の協力を得て4096^3の乱流場の可視化に成功した.この可視化では、高レイノルズ数乱流場の多階層的な渦構造が確認できる.これにより、これまで支配的であった「微細渦が乱流場を支配している」という認識に対して疑問がもたれるようになってきた.) 5.平面ポアズイユ乱流の並列プログラムの開発と実行(フーリエ・チェビシェフタウ法のコードを作成しMoser等により公開されている統計データと比較して結果の検証を行った.次にMPIで並列化し、格子点数1024×512×1024の大規模DNSを実現し、Ret=l300の準定常チャネル乱流場の解析を行った。)
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