1995年兵庫県南部地震の断層の動的破壊過程のシミュレーションを、三角要素を用いた境界積分方程式法を用いて行った。この地震に関しては、これまでいくつも断層モデルが提唱されているが、地震発震点付近の断層構造がよくモデル化されているKoketsu et al.(1998)のモデルを用いて行った。その結果、断層近傍の応力場が、この地域の広域応力場に支配されていると仮定したのでは、この地震の破壊過程をうまく再現できず、応力の主軸が30度時計回りに回転しているとしたほうが、この地震の破壊過程をうまく再現できることがわかった。この応力場の回転はYamashita et al.(2004)らの水圧破壊法を用いた応力測定データの解析によっても示唆されており、発震点付近でpre-slipが起ったことによる応力擾乱の影響を考えることで、この応力場の回転は説明できる。このように、断層面の幾何学形状と断層面に働く応力場を適切に設定することで、1995年兵庫県南部地震の動的破壊過程がうまく再現されることがわかった。 さらに、2005年12月にサンフランシスコで開催されたAmerican geophysical Union Fall Meetingにおいて、「Fault-Zone Properties and Earthquake Rupture Dynamics」というセッションを企画運営し、世界中から約90件の発表があり大成功をおさめた。
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