研究課題
基盤研究(C)
境界積分方程式法を用いて、地震の動的破壊が非平面断層上を伝播する場合の計算を行った。この計算を行うにあたって、断層面の形状、断層に働く剪断応力、断層面上での摩擦構成法則が、破壊の進展を計算する上で非常に重要である事がわかった。これらの情報を用いて、2000年鳥取県西部地震、1891年濃尾地震、1995年兵庫県南部地震の動的破壊のシミュレーションを行った。鳥取県西部地震では、断層近傍の初期応力場が未知の場合に、動的破壊のシミュレーションによって初期応力場が推定可能かどうか調べ、余震を用いた応力テンソルインバージョンの結果と調和的な結果を得る事が出来た。濃尾地震では、埋没断層(岐阜--宮構造線)が存在するかどうかを動的破壊のシミュレーションによって調べ、根尾谷断層南端と岐阜--宮構造線のつなぎ目の構造が重要である事を指摘した。さらに、兵庫県南部地震においては、明石海峡下の横ずれ断層の存在が全体の破壊伝播に大きな影響を与えていることを指摘した。また、鳥取県西部地震や2002年のアラスカDenali地震の際に断層のごく近傍で観測された地震波形から、すべり弱化距離の推定を行い、すべり弱化距離の規模依存性を実際の地震データから直接的に示した。さらに、2004年および2005年のAmerican Geophysical Union Fall Meetingにおいて、本研究に関連する特別セッションを開催し、計150編超の論文の投稿があり、非常に活発な議論が行われ、世界的にも非常に関心の高い分野であることを実感した。また、これらのセッションの成果をまとめた図書を出版すべく準備中である。
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