研究概要 |
近年,超高解像度衛星画像が実用化し,食糧生産のためのセンシングデバイスとしての期待も大きい.しかし衛星画像は,曇天,雨天時は有効でない,画像データを手元にするまで時差がある,画像分解能が低いなど生産技術に適用するには課題が多い.一方車載センサも画像取得の高度が低すぎて,画像データが膨大になる,潅水状態やぬかるみなどで車両を圃場に入れることができない場合が多い.特に,稲作で生育情報がほしい梅雨時期は,衛星ベース,地上ベースとも問題を抱えている.本研究は,日本に適したリモートセンシングのプラットフォームとして無人ヘリコプタに着目し,ヘリコプタベースのリモートセンシングシステムの開発を目指している.しかし,無人ヘリコプタの操縦は免許を必要とし,安定して飛行させることは容易でない.このような背景から,ヘリコプタベースシステムの場合,高度な制御系の開発が重要課題であるため,マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙学科との共同研究を企画した.『ヘリコプタによる農地情報の効率的な収集』と『タイムリーなリモートセンシング』の両立を目標設定した場合に,どのようなトータルシステム設計が必要で,その中の要素課題はなにか,今年度は研究調査に主眼をおいた。2003年10月にMIT航空宇宙工学科Feron助教授を招聘して,共同研究の企画会議を開いた。産業界からは産業用無人ヘリコプタを製造販売しているヤマハ発動機,ヤンマー農機に参加頂いた。次年度以降の共同研究テーマとして自動着陸機能,ローカルエリアの高精度測位技術の開発を設定することになった。併せて,農業機械学会主催の元,10月17日にセミナー「安全で安心な社会に貢献する産業用無人ヘリコプタ」を80名程度の参加者の元で科学技術振興事業団研究成果活用プラザ北海道において開催した。
|