研究概要 |
本年度は,難読化について以下の研究を行った. 1.難読化手法に対する評価尺度の提案 2.難読化技術の電子透かし埋め込み手法への応用 <難読化手法に対する評価尺度の提案> 現在,難読化手法に対する定量的な評価尺度がなく,難読化手法に対する定量的な評価尺度の確立が求められている. そこで,メソッドとフィールドの呼び出し回数に基づく,評価尺度を提案した.また,実際の解読時間と提案尺度との相関を示し,提案尺度の有効性を示した.さらに,ソフトウェア工学の分野で,ソースコードの改版しやすさの尺度として用いられているソフトウェアメトリクスによっても,難読化の評価を行い,提案した難読化手法と評価尺度の有効性を明らかにした. <難読化技術の電子透かし埋め込み手法への応用> 既存の電子透かし埋め込み手法を拡張し,利用者の識別情報を埋め込む電子透かし手法を提案した.著作権所有者の識別情報を電子透かしとして埋め込む場合,各利用者に配布されるプログラムは同一である.一方,各利用者の識別情報を電子透かしとして埋め込む場合は,電子透かしが埋め込まれる部分が異なっている.このため,複数の利用者が結託し,プログラムから異なっている部分を探し出すことにより,透かしの位置が特定される可能性がある.しかし,クラスファイルの構造を変える難読化手法を適用することで,利用者ごとに異なる位置に透かしを埋め込むことが可能となり,透かしの特定を困難にする手法を提案した.
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