研究概要 |
本年度の成果は以下の通りである. (1)基本アーキテクチャの設計:適応型基本ソフトウェアの基本アーキテクチャを設計した.基本的アーキテクチャは,具体的には,ハードウェア依存部(デバイスドライバ,割込み機構など)と,ハードウェア非依存部(プロセス管理,上位のメモリ管理など)に分割したアーキテクチャを設計した. (2)適応型ミドルウェアの設計とプロトタイプの構築:適応型基本ソフトウェアの対象分野に関して種々の検討を行い,その結果,情報家電組み込みシステムとして大きな市場が期待できる情報家電向けユビキタスコンピューティングの分野に焦点を絞った.当該分野においては,時々刻々変化するユーザの状況(コンテキスト)に即応的に適応できる環境を与えるコンテキストアウェアなミドルウェアが必要不可欠であり,その設計を行なった.当該ミドルウェアでは,組み込み型移動端末に実装されているセンサから取得した生データ(ユーザの位置情報,温度情報,移動速度情報など)から,より抽象度の高いコンテキストに適応的・自動的に変換できるコンテキスト導出エンジンが中核となる.当該エンジンの内部操作として,数学的に定義された集合演算,ファジィ集合演算を導入した統一的な枠組みを与えた.また,本ミドルウェアの実装方式に関して,従来行なわれていたインタプリタ方式に代わり,実行速度の面で優れているコンパイラ方式の実装方式を提案した.さらに,当該ミドルウェアのプロトタイプを構築した.
|