研究課題
本年度は昨年度のコミュニケーションの発生のメカニズムについてのモデルを元に、実際のソフトウェア開発のコミュニケーション発生の様子を計測ツールにて自動計測した。計測ツールはコミュニケーション自動収集機能と自動分析機能をあわせもち、コミュニケーション自動収集機能はWeb上での会話からコミュニケーションログを収集することを可能とした。また、この自動収集機能を大学の研究教育システムの一部として装備することで、学生のWeb上のバーチャルコミュニティにおけるソフトウェア開発コミュニケーションを自動収集することができた。さらに、計測ツールに装備された自動分析機能では、コミュニケーション発生の過程をビジュアルに表示した。また、蓄積されたコミュニケーションログと作成されたソフトウェアの品質の記録より、プロジェクト能力モデルも構築した。本モデルでは自然言語処理の文書類似度計算やクラスタリング処理によってコミュニケーションログを同一話題に自動分類した結果を用いて、話題別のコミュニケーション発生とプロジェクト能力の関係を知ることができる。プロジェクト能力モデルを本ツールの分析用機能を装備することで、プロジェクトの進行途中の危険性を察知することが可能であることがわかった。これらのコミュニケーションログをつかったプロジェクト能力測定方法は、現在の新しい開発方法論アジャイル開発において有効であることがわかった。また、複数プロジェクトのコミュニケーションを分析する過程で、同一話題のコミュニケーション蓄積曲線が一定の形を示すことを発見した。これは、プロジェクトの規模と種類が決まれば、おおよそそのプロジェクトで話し合うべき話題数が決まり、さらにその蓄積過程が指数関数曲線やS字曲線などの一定の曲線に従うであろうと考えが導かれる。この考えはソフトウェア信頼度成長モデルに類似する。ソフトウェア信頼度成長モデルのバグの蓄積数をコミュニケーションの蓄積数に置き換えることで、ソフトウェア信頼度成長モデルがコミュニケーションを用いたプロジェクト成長モデルへ展開できる可能性があることがわかった。
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