研究概要 |
本年度は,置換群と点群の統合による立体化学の再構築をおこなうことに重点を置いた. 1.O_h点群に属する八面体の辺に多座配位子をおく場合の異性体を,本担当者が開発したUSCI(Unit-Subduced-Cycle-Index)法を応用して対称性の観点から数え上げた.このことにより,Δ/Λ法による八面体のキラリティ表示を厳密に論ずることができるようになった. 2.同じO_h点群に属するキュバンの辺にメチレン基をおくという方法により,かご型化合物の組み合わせ論的な数え上げができる.これとコンピューターによる網羅的列挙を比較することを試みているが,現在は予備的なデータを得ている段階である. 3.一次元および二次元の指標をもとめるグラフ的な方法を論じた.ホモマー集合と簡約ホモマー集合との関係を明らかにし,各種の点群についてグラフ的に方法の有効性を明らかにした.これは,置換群のマークと点群などの指標との関係をあきらかにする上で基本となる成果である. 4.当初予定していた5次の対称群(置換群の一種)の検討については,基本的なマーク表など検討をおこなったが,外部発表には至っていない. 来年度は,これらを定性的な概念に結びつけることにより,ユーザーフレンドリーな反応検索エンジンの開発を目差す予定である.
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