研究概要 |
本年度は,GTTM(Generative Theory of Tonal Music)に基づいた音楽構造の解析システムを実装し,特に規則の優先度を調節するパラメータを設けた.このインタフェースシステムはパラメータの重さを決めるスイッチをもち,これを画面上左右に動かすことによってグルーピングが行われる.これを正解データと見比べることによって引き続きパラメータのチューニングを行うことができる. このパラメータ調節システムにおいては,正解データに近づくまでには人手によるアドホックなチューニングを行っていた.しかしそれでは手間もかかる上に得られた結果も客観性を欠く.われわれはこのグルーピングのパラメータチューニングを自動的な方法で行うことを試みた.まずパラメータのセットをランダムに生成する方法,次にヒルクライミング法,そして同時多点探索である遺伝アルゴリズムを用いてF-measureを比較した.遺伝アルゴリズムではパラメータのセットを一個体とし,両親の近隣でだけ子孫を生成するUNDX法を用いることにした. 実験は100曲のメロディに音楽大学出身の専門家にグルーピングを施してもらったものを用いた.結果を比較すると,ランダムサーチでは手によるサーチを必ずしも上回るわけではないが,ヒルクライミングではほとんどの曲で人手による結果を上回り,さらに遺伝アルゴリズムではヒルクライミングよりよい結果を出すことに成功した.
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