ヒト生体指に近い触感を有する人工指の素材としてシリコン製発泡ゴムを使用し、適切な発泡率および引っ張り強度を力学的および感性工学的に検討した。以下のような3種類のロボットハンドモデルを作製し、触感の評価をSD法(Semantic Differential Method)で行い、因子分析法を用いて解析した。 ハンドモデルA:引っ張り強度 11.1MPa、発砲率 2.5倍 B:11.1MPa、2.0倍 C:10.4MPa、2.5倍 また、各ハンドモデルとヒト指の力学的変形特性を測定し、相関曲線の比較および多重比較検定scheffe testにより検定を行った。その結果、以下の結論を得た。 1)感性で全体的にヒト手の触感に似ているとされたものはハンドモデルAであった。 2)「形状」、「触感」、「生体的」の3因子から触感評価結果の約40%の説明ができた。 3)ハンドモデルAの上記の3因子に訴える部分を改善することで、よりヒト手の触感に近いと評価されるハンドモデルの作成が可能であると思われた。 4)力学的変形特性の比較の結果、ハンドモデルAが最もヒト指の変形に近かった。また、最もヒト指の変形と異なっていたのはハンドモデルBであった。 5)感性でヒト手に近いとされたハンドモデルは、変形特性も比較的ヒト指に近いものであり、両者の結果は一致した。 6)ハンドモデルAに使用した発泡ゴムの発泡倍率を3.5倍程度まで増加させ、これを使用しハンドモデルを作成することで、よりヒト手の触感に近いハンドモデルを作成できると推測された。
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