研究概要 |
本研究では,位置測定機能を持つ携帯型端末を用いて測定された時空間位置情報データから交通行動に関する情報を得るための手法に関する包括的な理論を構築することを目指している.この目的を達成するため,今年度は以下の研究を行った. (1)位置測定手法のレビュー 既存の研究において用いられている位置測定端末の機能について,その精度,コスト,可搬性に着目してレビューおよびヒアリングを行い,それらの知識を整理した.位置測定端末としてはGPS,PHSおよび携帯電話に内蔵されるGPSを対象とした. (2)位置測定端末から得られる時空間情報データの解析手法の構築 位置測定端末から得られる時空間情報データの解析手法の理論の構築を行った.位置測定端末はその端末が存在する位置の緯度および経度の情報を時々刻々(数十秒から数分間隔)と測定し,その情報をオンラインで送信または端末の記憶装置に蓄積する.これらの情報を集めることにより被験者の移動ルートを時空間上に表現することが出来る.一方,交通調査や行動調査で重要な情報は物理座標ではない.通常は「○×という路線を利用した」「各駅停車ではなく快速電車を利用した」などの,具体的に固有名詞で示される交通機関などの名前である.そのためには物理座標軌跡とこれらの交通機関の軌跡を比較する必要があるが,この際,物理軌跡そのものが持つ測定誤差と,各種交通機関の情報の欠落(各列車の秒単位の運行計画など)の2つが問題となる.本年度は,これらの欠落を効果的に埋め合わせるための手法に必要な概念を理論的に整理した.また,その手法の一部については実測データによる検証も行った.
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