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2003 年度 実績報告書

細胞システムにおける「力学平衡」モデルの実証

研究課題

研究課題/領域番号 15650051
研究機関北海道大学

研究代表者

川端 和重  北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20261274)

研究分担者 芳賀 永  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00292045)
キーワード細胞 / システム / 力学平衡 / ホメオスタシス
研究概要

細胞運動や組織形成などには、基質の伸展刺激や流れずり応力等の力学的刺激が重要な働きをすることが知られている。本研究の目的は、外力に対する細胞の力学的応答を調べることにより、細胞内のアクチンフィラメントネットワークの動的性質を明らかにする、特に、外的刺激に対する力学的な平衡状態(張力ホメオスタシス)の性質を明らかにすることである。
弾性シャーレを用いて、生きた繊維芽細胞を伸長もしくは収縮させた場合の、かたさの変化を力学SPMを用いて測定した。細胞の変形量は、極力小さく5%と設定した。これにより、形態変化等の2次的な現象を誘引することなく、細胞骨格に働く力を直接観察しようと試みた。収縮によって細胞のかたさは収縮前の約1/4まで急激に減少し、その後数時間程度の間に緩やかに回復した。一方、伸長によって細胞のかたさは急激に増加し、その後同様に緩やかに回復した。このとき、この変形量は非常に小さいために、この時間においては細胞の伸張もしくは収縮変形以外の新たな形態変化は生じないことを確認した。同時に、GFPを用いて細胞骨格を染色した細胞において、同様の収縮、伸張実験をおこなった。その結果、細胞骨格には明らかな変化がないことがわかった。さらに、ミオシンの活性(細胞内張力を減少させる)を阻害する薬剤を投与した細胞においても同様の実験を行った。その結果、細胞の硬さに明らかな回復現象は見られなかった。これらの結果から、外力に対する細胞の硬さの回復現象は、細胞骨格に働く張力を一定に保つ性質に基づくものであるといえる。今後、さらに硬さ応答の時空間の分解能をあげて、応答のスペクトロスコピーを明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] T.MIZUTANI, H.HAGA, K.NEMOTO, K.KAWABATA: "Wide-Range Scanning Probe Microscopy for visualizing Biomaterials in a Sub Millimeter Range"Jpn.J.Appl.Phys.. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] T.Nitta, Y.Endo, H.Haga, K.Kawabata: "Microdomain Structure of Agar Gels Observed by Mechanical-Scanning Probe Microscopy"J.Electron.Microsc.. 52. 277-281 (2003)

  • [文献書誌] K.Kawabata, Y.Sado, M.Nagayama, T.Nitta, K.Nemoto.Y.Koyama, H.Haga: "Visualization of Dynamic Organization of Cytoskeleton Gels in Living Cells by Hybrid-SPM"Chinese J.Polym.Sci.. 21. 169-174 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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