• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2004 年度 実績報告書

細胞システムにおける「力学平衡」モデルの実証

研究課題

研究課題/領域番号 15650051
研究機関北海道大学

研究代表者

川端 和重  北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20261274)

研究分担者 芳賀 永  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00292045)
キーワード細胞 / システム / 力学平衡 / ホメオスタシス / ミオシン / リン酸化
研究概要

細胞運動や組織形成などには、基質の伸展刺激や流れずり応力等の力学的刺激が重要な働きをすることが知られている。本研究の目的は、外力に対する細胞の力学的応答を調べることにより、細胞内のアクチンフィラメントネットワークの動的性質を明らかにする、特に、外的刺激に対する力学的な平衡状態(張力ホメオスタシス)の存在およびその性質また分子レベルでの要因を明らかにすることである。本研究により得た結果は以下である。
1)弾性シャーレを用いて、生きたマウス繊維芽細胞(NIH-3T3)を伸長もしくは収縮させた時の、細胞のかたさ分布の時間変化を力学SPMを用いて測定した。細胞内のアクチンストレスファイバーに働く張力にも恒常性が存在し、元の状態に戻るために2時間程度の時定数を持つ。2)ストレスファイバーの収縮力の起源であるミオシン調節軽鎖(MRLC ; Myosin Regulatory Light Chain)に結合したリン酸数と張力の応答の関係を調べた。1リン酸化はできるが2リン酸化することが出来ないMRLC(MRLC-T18A)を過剰に発現させた細胞を機械的に伸張させ、その力学的応答をSPMによって測定した。この細胞では細胞内張力ホメオスタシスは起こらない。3)wild-type細胞を伸長もしくは収縮し、リン酸化されたMRLCの細胞内の空間分布を共焦点蛍光顕微鏡で観察した。細胞の伸長直後にストレスファイバー上に2リン酸化したMRLCが増大し、その後脱リン酸化が進み、120分後には伸長前の状態に戻った。また、細胞を収縮させると、収縮直後に1リン酸化したMRLCが減少し、その後リン酸化が進み、数十分後には収縮前の状態に戻った。2)-3)の結果から、細胞の定常状態におけるMRLCは1リン酸化状態をとり、外部からの伸長によって大きな細胞内張力が必要になれば2リン酸化状態、収縮によって細胞内張力が不要になれば脱リン酸化状態をとると考えられる。すなわち、細胞内張力の安定化機構はMRLCに結合したリン酸の数によって制御されていることが明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Collective Movement of Epithelial Cells on a Collagen Gel Substrate2005

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Haga
    • 雑誌名

      Biophys.J. 88

      ページ: 2250-2256

  • [雑誌論文] Contribution of Cellular Contractility to Spatial and Temporal Variations in Cellular Stiffness2004

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Nagayama
    • 雑誌名

      Exp.Cell Res. 300

      ページ: 396-405

  • [雑誌論文] Cellular Stiffness Response to External Deformation : Tensional Homeostasis in a Single Fibroblast2004

    • 著者名/発表者名
      Takeomi Mizutani
    • 雑誌名

      Cell Motil.Cytoskeleton 52

      ページ: 242-248

URL: 

公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi