研究課題/領域番号 |
15650052
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
安永 卓生 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (60251394)
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研究分担者 |
入佐 正幸 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (60284600)
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キーワード | 電子顕微鏡法 / 分子動力学法 / 構造生物学 / 計算機顕微鏡法 / アクチン / ミオシン / GRID / 仮想現実感 |
研究概要 |
分子動力学計算ソフトウェアNAMDを利用して、電子顕微鏡像をポテンシャルとする外力(Steering Force)として分子動力学計算に組み込んだ。我々は、これを、空間制限分子動力学法(Spatially-Restricted Molecular Dynamics)と呼ぶ。更に、平行移動、回転などのマイクロ秒からミリ秒の時間スケールの動きを、酔歩として組み込んだ。また、電子顕微鏡像の分解能を変更することにより、電子顕微鏡像による空間拘束をアニーリングとして取り扱うアルゴリズムも導入した。これらにより、30度程度の回転や分子の構造変化に対しては対応できることが分かった。一方で、未だ、エネルギー極小値に捉われ、目標とする構造に至らない場合も存在した。今後、更に、ナノ秒からマイクロ秒の動きにあたるノーマルモード解析などの情報を組み込むことにより、この極小値問題を解決すべく研究を進めている。これらの結果は、2003年度日本生物物理学会年会にて、「電子顕微鏡3次元像と原子モデル間のDocking問題:分子動力学法を用いた解決を目指して」として報告した。 また、アクチン・ミオシン硬直複合体のクライオ電子顕微鏡像もナノメータを超える分解能に達した。これにより、αヘリックスの同定が可能となり、現在、アクチン・ミオシン硬直複合体の原子モデル構築を行っている。本結果も、2003年度日本生物物理学会年会にて報告した。更に、フラクタル的空間分解能試験アルゴリズムを新しく開発し、空間分解能の妥当性を検討した。また、電子顕微鏡三次元像のエネルギー論的解析の可能性を探っている。 共同研究者は、溶媒の問題を取り扱い、アクチン周辺の水和エネルギーの可能性を探り、それらを報告した。
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