研究課題
心筋カリウムチャネルI_<Ks>チャネルの活性化は、カルシウム過負荷を予防することにより心筋保護に働く。これは特にストレッチ・細胞内カルシウム流入の時の過剰なストレッチ・過剰なカルシウム流入を予防するのに働き、"mechano-electrical feedback機構"と呼ばれていており、その破綻は心筋症・心不全をもたらす。このメカニズムは長年不明であったが、ストレッチ・カルシウムによる内皮型一酸化窒素合成酵素eNOSの活性化、産生された一酸化窒素によるI_<Ks>チャネルの活性化によることが明らかにした(Bai et al. Circ Res. 2005)。一酸化窒素は一般的にcGMP依存性リン酸化により作用を示すと考えられているが、I_<Ks>チャネルに対しては直接のニトロ基付加により活性化することが判明した(Bai et al. Br.J.Pharmacol. 2004)。ストレッチ・カルシウムによるeNOS活性化にはタンパク間相互作用が重要であり、ストレッチによる活性化は、integrin→integrin-linked kinase→Akt→eNOSの経路を介しており、カルシウムによる活性化は、calmodulin経路を介している。後者に関しては、静止状態ではI_<Ks>チャネルとcalmodulinがタンパク結合をしており、eNOSとcaveolinがタンパク結合をしているが、カルシウム上昇によりcalmodulin-eNOS相互作用に変化しeNOSの活性化が引き起こされる(Bai et al. Circ.Res. 2005)。eNOSとの結合を障害するcaveolin変異ではヒト拡張型心筋症がもたらされが、そのメカニズムの一部として、I_<Ks>活性化の障害とこれに基づく心筋保護機構"mechano-electrical feedback機構"の破綻の関与が示唆された。
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