RNAi-TGの系はマウスだけでなくラットにおいても応用可能であることがすでに分かっている。そのためES細胞がないような動物種においても、RNAi-TGの系を使うことにより個体における遺伝子の機能解析ができる可能性が出てきた。しかしながら、これまでにsiRNAが発現しない個体が出現することやRNAi効果が加齢とともに減弱するといった問題点も分かっており、RNAi-TG法はまだ完成された方法ではない。そこでわれわれはこれらの原因として、プロモーターの不安定さや発現量の少なさを考え、培養細胞を用いた系ですでに有効性が証明されているtRNAプロモーターを用いてRNAi-TGマウスを作製し、マウス個体におけるRNAiをより詳細に解析することを目的に実験を行なった。tRNAプロモーターによるRNAiトランスジェニックマウスを作製し、ファウンダーマウス及びF1マウス個体においてRNAi効果を確認した。 その結果、(1)世代を経ることにより、RNAiトランスジーンを持っているにも関わらずsiRNAが発現しない個体が出現し、そのような個体においてRNAi効果は見られなくなることを確認した。(2)いったんsiRNAが発現しなくなった親からsiRNAの発現が回復した子供は得られなかった。(3)EGFPの発現が非常に強力なグリーンマウスにおいて、EGFPに対するRNAi効果は加齢とともに減弱することを確認した。(4)EGFPの発現がより低いLG-002マウスを用いるとEGFPに対する持続的なRNAi効果があることが確認された。
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