研究概要 |
3次元細胞注入システムで使用する穿刺深さ計測方法として,穿刺深さ穿刺針を針電極として用いて,針電極と板電極間のインピーダンス値をもとに穿刺深さを計測する方法を考案した.20mm×20mm×2mmの濃度20%のゼラチン,20mm×20mm×6mmの豚の心筋を用いて,本法の基礎的評価実験を行った.試料を35mm角のステンレス板対極電極上に置き,マイクロメータに取り付けた32Gのステンレス針を試料の中心に対して垂直に穿刺した.穿刺針を100μmごとに下降させた時と,最下点から100μmごとに上昇させたときのインピーダンス計測を行い計測精度,再現性を評価した.インピーダンス計測は,定電流計測を採用し,測定電流値0.3mA(rms),測定周波数100Hzとした.ゼラチンでは0mmから2mmの穿刺深さの変化に対して,インピーダンス値は,10000Ωから6000Ωに,豚の心筋でも,0mmから6mmの穿刺深さの変化に対して,インピーダンス値は,1100Ωから600Ωに非線形に変化した。穿刺針の上昇,下降時に若干の差があるヒステリシス特性と,施行回による差を認めたが,安定的な,穿刺深さに対するインピーダンス変化の関係を確認し,本法を用いた穿刺深さ計測の可能性を確認した.同時に.マイクロ穿刺駆動系も考案し,ボールネジ直結型パルスモータを採用することにより,位置決め精度10μm,分解能1μmの穿刺針移動機構を開発した.細胞注入方式に関しては,穿刺針先端部にカッターブレイドをマイクロマシン(MEMS)技術を形成,回転動作により細胞注入スペースを確保する方法の考案を行った.そのほか,MEMS技術による針表面上へのマイクロ計測電極製作方法の確立,マイクロ電極間の短絡防止の表面ナノ改質技術の検討を行った.
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