研究概要 |
神経線維を一旦切断し、その再生する経路に電極を多数配置することで,多数の神経線維に対して電極の接続を可能とする電極とし,半導体プロセスを転用して製作されたシーブ電極がある.これまでのシーブ電極は2次元構造であるため,密集した神経線維と接続した電極から外部への配線が困難であった.このような問題を解消するために本研究では,FIB-CVD法(Focused-Ion-Beam Chemical-Vapor Deposition)による3次元造形法を用いて神経線維の再生経路と電極を中空糸状に形成し,同時に,配線を立体配置する手法を提案し、電極の作成を試みる. 平成15年度は、FIB-CVD法を用いた神経再配置型再生電極の製作方法の確立を目指した.FIB-CVD法は原料ガス雰囲気中に集束イオンビームを照射することで,照射したところだけに選択的に材料を堆積させる3次元造形法である.ビームスキャンと原料ガスを制御することにより,ナノスケールの任意の材料,形状の構造物作製が可能であるので,神経再生路である絶縁体のチューブや電極の作製が可能であり、この手法を用いて絶縁材料であるDLC (Diamond-like carbon)を用いて神経線維の再生路を作製し、また,原料ガスを変えることでタングステンカーバイトによる造形が可能になるので,同時にタングステン電極を再生路に配置し,神経電極として使用できるような構造とした。また、他の神経線維再生路や配線を迂回して配線を作成する事も試みた。現在、1本の再生路の形成は可能であるが、複数本同時に作成すると、形態が崩れるという現象が生じており、この問題の解決を図っている。
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