研究課題/領域番号 |
15650095
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
梶谷 文彦 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70029114)
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研究分担者 |
毛利 聡 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (00294413)
清水 壽一郎 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80294403)
八木 直人 高輝度光科学研究センター, 主席研究員 (80133940)
片岡 則之 川崎医療短期大学, 講師 (20250681)
中村 一文 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10335630)
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キーワード | ナノ機能評価 / クロスブリッジ動態 / アクチン・ミオシン分子動態 / マクロモレキュル / 再生医療 / 培養心筋 / 細胞移植 / X線回折 |
研究概要 |
心筋細胞移植や心筋組織移植による再生医療において、分子レベルでの機能を組織・臓器レベルで評価することが重要である。本研究では大型放射光施設SPring-8を用いたX線回折像によりアクチン・ミオシン分子動態をマクロモレキュル的に解析し、分子から臓器へと情報統合していく事を目標とする。 実験ではラット新生児培養心筋細胞を用いてコラーゲンジェル(Type I)に包埋し、機械的進展及び薬剤刺激を加えたEngineered Cardiac Tissueのクロスブリッジ・ナノ機能評価を試みた。コラーゲンとトリプシン処理された心筋細胞を混和し、自作のシリコン製培養容器に流し込み37℃、5%二酸化炭素下で1週間培養した。その後、対照群、Angiotensin II(100nmol/L)及びNorepinephrin(10μmol/L)投与群に分け、周期1Hz、進展率10%にて機械的進展を1週間行った。また、温度感応性培養基質(IPPAM)を用いた積層心筋細胞シートを作成し、これについても検討した。X線の波長は0.083nmでエネルギーは15keVで実験を行った。 培養心筋細胞は顕微鏡下に収縮を確認できたが、コラーゲン包埋組織の全ての群及びIPPAM積層心筋細胞シートにおいてアクチン・ミオシン二重六角格子によるX線回折像を得ることが出来なかった。心筋量不足と配向不足が原因として考えられたが、心筋量不足に関しては培養組織を重ねて計測してもアクチン・ミオシンのX線回折像を得られなかった。また、配向不足に関しては、今回用いたラット新生児は増殖能を有する生後3日目前後であり、その摘出全心臓からもX線回折像を得ることが出来ず、成ラットに比較して、心筋自身が十分な配向を有していないことが明らかになった。今後は、臓器レベルでの解析も含めてクロスブリッジの発達過程に関与している因子を明らかにしていく予定である。
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