研究概要 |
前年の結果より加速度刺激が培養軟骨細胞を活性化させることが示唆されたが、同じ振動の一種である超音波にも同様の効果があるかを検証した。3次元培養軟骨細胞にヒアルロン酸と超音波刺激(1.5MHz、30mW/cm^2)を与え、培養液中のコンドロイチン4、6硫酸異性体量を定量した。その結果、超音波刺激の有無をU+,-、ヒアルロン酸の有無をHA+,-として表示する。(U-,HA-)群と(U+,HA+)群のコンドロイチン4硫酸異性体量はそれぞれ培養後7日で27.8と32.5μg/ml、14日では64.9と90.2μg/mlであり有意に(U+,HA+)群が高かった(<0.01)。また、コンドロイチン6硫酸異性体量も同様で、それぞれ培養後7日で30.5と42.7μg/ml、14日では86.2と123.2μg/mlであり有意に(U+,HA+)群が高かった(p<0.01)。また(U+,HA-)群と(U-,HA+)群とには有意差はなかった。すなわちヒアルロン酸と超音波刺激が培養軟骨細胞を活性化させることが示唆された。 ブタの脛骨骨髄より骨髄細胞を採取し、3日間15%FBSを含むDMEM培地にて培養し、その後底面に接着した細胞を単離し、2週間かけてDexamethasone、β-Glycerophosphate、L-ascorbic acid phosphateを含む培養液にて培養し骨芽細胞への分化を行った。この骨芽細胞浮遊液を1.0×10^6cellsづつ円盤状ハイドロキシアパタイトブロック内にろ過させることでブロック内に細胞を停留させ、24 well plateの底に置き1×10^<-4>Gの加速度を与えた条件下で2週間培養した。4週間経過した時点で、ブタ足関節より採取した軟骨より軟骨細胞を単離し、コラーゲンゲル内に包埋、2.0×10^6cellsづつ前述した骨芽細胞培養アパタイトブロック表面に撒き、さらに2週間、1×10^<-4>Gの加速度下に培養を継続した。 結果は、アパタイトブロック内にて骨芽細胞はある程度とどまってはいたが、骨器質を形成まではいたらなかった。しかし、表面の軟骨層は層状に形成し、一部アパタイトブロックの孔内にも浸潤し、軟骨層がアパタイト層と比較的強固に固着し、いわゆるアパタイト・軟骨複合体を形成した。
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