研究概要 |
本研究は現在までに私共が高エネルギー実験のために開発してきた荷電粒子の軌跡検出技術をX線の高速位置検出に応用し,これがPET装置(positron-emission tomography-陽電子電子断層映像技術)の改良に役立つことを実験的に確かめることを目的としている. 本年度は今までの研究を推し進め,1mmx1mmx20mmのYAP結晶128個を用いて,11x11のパッドを組み,コリメータとセシウム-137線源を用いて位置分解能の測定を行った.結果は非常に良好で,解析結果はKEKにおける国際ワークショップで発表した.さらに本年度はナトリウム-22線源を用いたコインシデンス実験の為の装置をくみ上げ,8x8に結晶のパッドを2個制作し,位置分解能測定の為の準備を行った.また,結晶から取り出せるフォトンの量を増やす為のいろいろな試みも行った.この中でかなり詳細なシミュレーションプログラムを完成させ,それによって最適な結晶の表面処理を探った.さらに実際511keVの検出により適したLuYAP結晶のパッドをこれに基づいた表面処理デザインして入手し,加工を開始した.また,いろいろな種類のwave-length shifterを入手加工し,来年度はこれを用いたデータの取得を開始する.さらにデータアキジション装置のいろいろな改良にも取り組んだ. 加えて被検体内での散乱等により劣化したPETの画像データの回復を目的としたblind deconvolutionの研究に着手した.現在はまだあれこれ試行中であるが,来年度には実用のめどを立てたい.
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