研究概要 |
本年度は実験機器の整備と実験方法の確立に務めた.萎縮筋モデルの作成には11週齢ラットを用いた.2週間後肢懸垂し,標本となるヒラメ筋の絶対筋湿重量比が対照群と比較して有意に減少していることを確認した.電気生理学的考察を行う為に麻酔下にて摘出した脛骨神経-ヒラメ筋標本を135mM-NaCl,5mM-KCl,2mM-CaCl_2,9mM-MgCl_2,15mM-NaHCO_3,1mM-Na_2HPO_4,11mM-glucose,2μM-neostigminからなる修正Krebs液約20mlで満たした液槽内に固定した.神経筋接合部から微小終板電位及び終板電位を記録するには細胞内微小電極法を用いた.3M-KClを充填した抵抗8〜12MΩの細胞内微小電極からの電気信号を,微小電極用増幅器(DPZ-16F,ダイヤメディカルシステム社製)により増幅し,デジタルストレージスコープ(DS-9121,IWATSU社製)で観察しつつ,データレコーダー(XR-50,TEAC社製)の磁気テープに記録した.終板電位を発生させるために,刺激電極として,吸引電極を用い,脛骨神経を吸引した.電気刺激装置(3F46,日本電気三栄社製)およびアイソレーター(5384,日本電気三栄社製)を用い,刺激電圧を最大上刺激とし,持続時間1msec.の矩形波パルスの反復刺激を0.5Hzの頻度で50回,脛骨神経に与えた.以上により得られたデータの解析は,シグナルプロセッサー(1200A,日本電気三栄社製)を用いて,微小終板電位及び終板電位の立ち上り時間(time to peak),振幅(amplitude),微小終板電位の発生頻度(frequency)について行った. 以上の結果から2週間の後肢懸垂により萎縮筋モデルが作成出来ること,現存の実験機器で終板電位及び微小終板電位を得られることが判明した.
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