研究概要 |
本年度は主に生化学的研究を行った。 実験動物はWistar系雄ラットとした。ラットを無処置対照群(CONT, n=5)、電気刺激群(ES, n=5)、後肢懸垂群(HS, n=5)、後肢懸垂+電気刺激群(HS+ES, n=5)の4群にわけた。各々を個別ケージ(276×445×204mm)で飼育した。懸垂期間は有意に筋萎縮が認められるとされる2週間とした。各群とも実験開始時に各個体の体重を測定した。2週間の飼育の後、ヒラメ筋標本摘出前に体重を測定し、その後筋湿重量と筋断面積を測定した。ES群、HS+ES群に対する電気刺激は経皮刺激装置(Kinetizer NT、ミナト医科学製)を用い1日15分間連日刺激した。また、筋標本から蛋白質を抽出し、SDS-PAGE法を用いてミオシン重鎖アイソフォームの分離を行った。統計学的処理には一元配置分散分析を行い,有意差が得られた場合にはさらにpost hocテストとしてFisher法を行った。有意水準を1%とした。 結果:2週間飼育後の体重は,HS群、HS+ES群で有意に低下した。相対的筋湿重量および筋断面積は,HS群で有意に低下した。HS群では、速筋型ミオシン重鎖の増加がみられ、廃用性筋萎縮に特徴的な変化が確認されたが、HS+ES群ではこの変化が見られなかった。今回示された生化学的変化の機序を今後解明するとともに、神経を含めた電気生理学的変化についても検討し、廃用性筋萎縮の予防に有効な方法を明らかにしたい。
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