研究分担者 |
石田 暉 東海大学, 医学部, 教授 (50118907)
豊倉 穣 東海大学, 医学部, 助教授 (20217566)
花山 耕三 東海大学, 医学部, 助教授 (80189589)
古川 俊明 東海大学, 医学部, 助手 (30276852)
笠原 隆 東海大学, 医学部, 助手 (00366014)
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研究概要 |
本研究において,ディスポーザブルのNCS電極(日本光電)を用い,左右の前頚部筋(舌骨上筋群含む)を導出部位とした片側の経頭蓋磁気刺激を行うと,左右から潜時が3〜4msecの運動誘発電位が容易に再現性をもって得られた.これは8の字よりも円形コイルを用いた際に明らかであった.しかしながら,同じ刺激強度(出力40%〜70%)の場合,何度でも(100%)同一波形が誘発されるため,末梢神経(三叉神経を含む)を直接刺激したものと推察した.そして,この末梢神経と推察した波形の後方,潜時6msec付近(20〜30歳代)に別の運動誘発電位が生じることを確認した.これは前者の波形と比較して同じ刺激強度であっても潜時や振幅などに変化があり,大脳皮質運動野を介して得られた運動誘発電位と推察した(過去の論文における潜時と矛盾はない). この嚥下に関わる大脳皮質運動野において,舌骨上筋群の至適部位の範囲は比較的狭く,円形コイルで確認することは困難であった.このため運動閾値を指標として刺激する本研究においては,8の字コイルを使用すべきと考えた.我々は最終的には球麻痺タイプの嚥下障害に対する治療として,嚥下に関わる大脳皮質運動野を広く刺激することを想定し,円形コイルの使用を考えたが,上記の点から8の字コイルに変更した.そして8の字コイルを用いても嚥下に関わる大脳皮質運動野を刺激する際に,あわせて末梢性に前頚部筋(左右の舌骨上筋群・舌骨下筋群)を収縮させうることを確認した.嚥下に関わる中枢および末梢神経系を同時に刺激することが,球麻痺タイプの嚥下障害の治療において適切かどうかは今後検討が必要である. 本研究最終年度は大脳皮質運動野を介して得られた運動誘発電位の加齢による影響を確認するとともに,延髄外側症候群の球麻痺タイプの嚥下障害1例以上から誘発電位を得て,健常例と比較する.
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