研究概要 |
小児患者3例、成人患者2名において呼吸理学療法(呼理法)施行前後の呼吸音を録音し音響学的に解析した。小児3例は急性呼吸不全に陥り人工呼吸管理を行なっていた小児患者で、2名は陣理法施行前後の呼吸音について比較検討した。残りの1名については、デジタルビデオカメラに呼吸音および理学療法士が行っている呼理法手技を記録して、呼吸音と手技と関係について検討した。成人患者2名は腹部手術施行患者で、呼吸理学療法(呼理法)施行前後の呼吸音および経時的(数日間隔)に呼吸音を録音して音響学的に解析した。成人1名については、術前からの呼吸音の変化についても検討した。呼吸音は、聴診器のチェストピースとピン型小型マイクロフォンを接続した聴取装置でミニディスクレコーダーに録音した後、音響解析ソフトSound Scope (GW Instruments社製)を用いて音響学的に解析を行なった。具体的には、呼吸音をサウンドスペクトルグラムに変換して比較した。呼理法施行手技および呼理法撮影中の呼吸音についてはデジタルビデオカメラ(Sony社製DCR-PC120)を用いてデジタルビデオテープに記録した後に、呼吸音をサウンドスペクトルグラムに変換して画像と比較した。呼吸音の音響解析の結果は、小児例で呼理法前には認め呼理法後には消失していた分泌物によると思われるラ音を画像(サウンドスペクトルグラム)上で確認することができた。成人例では、呼理法前後で呼吸音の増強を認め、換気の改善が推測された。また、呼吸音の経時的な計測では、経時的に呼吸音の増強を認めた。デジタルビデオカメラで記録した呼理法手技とサウンドスペクトルグラムに変換した呼吸音の比較では、呼理法手技のよる呼吸音の変化を捉えることができた。今後は、呼理法施行中の呼吸状態(分時換気量、気道内圧、VCO_2、ETCO_2,等)の測定・記録・解析と呼理法施行手技と呼吸状態の関係の究明が課題である。
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