研究課題/領域番号 |
15650123
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 慎也 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門・ニューロバイオニクスグループ, 研究グループ長 (40211312)
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研究分担者 |
金子 秀和 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門・ニューロバイオニクスグループ, 主任研究員 (20356801)
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キーワード | 大脳皮質運動野 / 大脳皮質機能再編成 / 大脳皮質機能再編成 / 脳損傷 / 片麻痺 / 前肢運動障害 / 神経可塑性 / リハビリテーション |
研究概要 |
これまでの実験で、ラットの大脳皮質運動野の片側損傷後に生じた対側の前肢運動の障害は(リハビリ)訓練によりほぼ回復し、この回復は非損傷側運動野による障害前肢への再支配に基づく可能性が示唆されている。本年度はこの仮説を検証するために、回復後に最初に損傷を加えた対側の運動野にも損傷を加えると、回復した前肢にも再び障害が生じることが明らかになった。これにより、最初の片側損傷後に前肢制御機能の大脳半球間転移が生じるという仮説が支持された。 更に今年度は、運動野損傷が前肢運動機能に及ぼす効果を定量的に計測するための実験をおこなった。左右に並ぶ2個のレバーを押す力を計測できるチャンバーを作製し、ラットが左右のレバーをそれぞれ左右の前肢で押す訓練をおこなった。その結果、レバー押力80gを1秒以上持続できるように訓練できることが判明した。更に、大脳皮質運動野の前肢支配領域の片側損傷により、対側前肢のレバー押力・持続時間が共に著しく減少することも判明した。また、片側運動野損傷により半対側前肢の押力低下が生じるが、損傷後の1ヶ月以上の訓練により相当回復した。他方、損傷後1ヶ月の訓練を行わない場合、自然回復が起こることはなかった。他方正常動物では、押力が安定後に2ヶ月の休止期間を設けても、訓練効果がほぼ維持された。これらのデータは、レバー押し訓練が、リハビリ訓練のモデルになることを示している。この計測システムは脳損傷後のリハビリ訓練の定量的解析や訓練に伴う脳機能再編成機構を調べる方法として有望であると思われる。
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