研究概要 |
本研究の目的は,虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞)患者を対象に,彼らの再発防止を目的として,特に日常生活における身体活動量を増強させる行動変容プログラムを開発し,このプログラム実施の効果を検証することである.循環器病を専門とする病院では,従来,患者教育と称する医学的教育プログラムが行われてきた.本研究では,患者の行動の維持・継続に焦点を絞り,行動科学の理論・モデルおよび技法を盛り込んだプログラムづくりを行う. 平成15年度は,医学教育や日常生活でできる運動指導に加えて,患者が日常生活の活動量を増加させることを目的に,行動変容の技法を取り入れたプログラム開発を週1回3ヵ月間行った.このプログラムでは,医学教育(栄養指導を含む),運動指導,および行動変容の3分野を機能的に組み込み,行動変容では,セルフモニタリング,目標設定,自己報酬,刺激コントロール,逆戻り予防などの認知行動(セルフ・マネジメント)技法を効果的に用いた.その結果,患者の歩数は上昇し,それにつれて各患者のリスク要因も減少を見せた.また,心疾患患者のライフスタイル変容は困難であるが,本研究で行った身体活動増強を健康行動全般のゲートウェイ行動と見なした試みは患者には好評であった.従来行ってきた現在,患者個々の成果について分析を行っている.
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