研究概要 |
環境負荷が少なくかつ安全性の高い代替溶剤である液体二酸化炭素を用いた乳化系洗浄システムを作製し,各種人工汚染布を用いた液体二酸化炭素による洗浄試験と,水とフッ素系溶剤AK225を用いた振蕩による洗浄試験を行い,表面反射率の測定から洗浄力評価を行った.また,界面活性剤水溶液の添加条件を変えて,液体二酸化炭素を媒体とする洗浄ならびに水やAK225溶剤を媒体とする振蕩による洗浄についても,表面反射率から洗浄力の比較を行った.その結果,モーターオイルによる油性汚れは液体二酸化炭素のみの洗浄で約30%の洗浄効率が得られた.水溶性界面活性剤PEG(ポリエチレングリコールラウリルエーテル)の添加では洗浄効率が低下(24%)したが,油溶性界面活性剤AOT(ジー2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)の添加では洗浄効率が向上(38%)することが分かった.これは液体二酸化炭素/水の形成するエマルション内の水滴中で,あるいは液体二酸化炭素と相分離している多量の水中で,過剰のAOTがO/Wエマルションを安定に形成することに起因すると考えられた.また,液体二酸化炭素で水溶性汚れ(コーヒー,赤ワイン等)を洗浄する場合は,少量の界面活性剤水溶液の添加により,洗浄効率が著しく向上した.さらに,水溶性汚れの洗浄においてAK225媒体に界面活性剤を添加する場合,陰イオン性界面活性剤の添加では高い洗浄効率を示したが、非イオン性界面活性剤の添加では洗浄効率は大きく低下することが示された.
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