現代社会ではストレスと無縁ではない。一般的にストレスというと精神的なものをイメージしがちであるが、生体にとっては暑い、寒い、低酸素、低栄養もストレスであるといえる。その時生体内では、ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質または分子シャペロン)というタンパク質の発現が多くして対応している。今回飢餓時におけるストレスタンパク質の挙動を探ることで生体内にどのような変化が起きているか考える糸口として我々が長年研究してきたストレスタンパク質の一つである分子シャペロンHsp90とその関連タンパク質であるプロテアソーム活性化因子PA28に着目して研究を行った。Hsp90は飢餓時に発現が上昇することが知られており、そのRNAiは致死であることから、実験者が見いだした、Hsp90と相互作用するプロテアソーム活性化因子であるPA28について線虫で研究を行った。まず、PA28の3'側のエキソンにGFP遺伝子を挿入し、線虫の体内での発現をみたが蛍光は検出できなかった。昨年は野生株におけるPA28のRNAiを行って表現型がみられないことを報告したが、今年度はHsp90の変異体であるdaf-21でのRNAiを行った。しかし、RNAiを行っていない線虫と比べ、表現型に違いがみられなかった。今後は代表的な分子シャペロンの発現を飢餓時の線虫とそうでない線虫で違いがあるかを検討したいと考えている。
|