研究概要 |
少年剣士の練習光景から少年剣士のフォームをコーチするシステムについては,身長,剣先の高さ,竹刀の角度,剣先の交差距離をデジタル画像から抽出し,それらを数値化したデータから決定木学習によりコーチのためのルールを学習したが,当初は精度が低かった.そのため,剣道の専門家をインタラクティブに有効属性の発見を試みた結果,間合いという概念を[両者の足の間の距離]に置き換え,再度,決定木学習を行った結果,精度の高いルールが学習できた. 一方,サッカーコーチシステムの開発については,ワールドカップ2002の全試合を対象にして,ボールをキープしている選手に注目し,ボールの位置と選手の行為(キックやドリブルやパス)に関するデータを収集し,因子分析により,[ボールをつなぐ][カットからの攻撃][効率のよいせめ]という3種類の共通因子を抽出した後に,決定木学習による戦術に関するルールの学習を試みた.その結果,IF[効率のよい攻めができない][カット数が少ない]Then[予選敗退],というような興味深いルールが学習できた. また,すべての選手の位置データを収集する試みについては,サッカー選手の重なりがない場合の人物追跡をほぼ完全に処理できることが確認でき,さらに,選手が交差して離れていく場合,多くの選手がボールに一斉に集まる場合などの複雑な動きに対しては,色情報の導入が効果的であることが確認できた. 以上,剣道とサッカーを例にして,スポーツの練習光景などを撮影したデジタル映像から,身体技能の向上に役立つ知識や勝敗を左右する戦術に関する知識を自動抽出するシステムの構築可能性を示すことができた.
|